英日翻訳の技術を磨く5つのポイント!自然な日本語に訳すコツとは?

英日翻訳した文章は一行読んで「翻訳文だ」とわかってしまうような日本語になっていることがあります。なぜ母国語の文章なのにぎこちない表現になってしまうのでしょうか。
英日翻訳では、原文を直訳しても、自然な日本語にはならないのです。英日翻訳で自然な日本語で書けるようになるためには、技術を磨く必要があります。

本記事では、英日翻訳で自然な日本語訳文を書くためのトレーニング方法について解説します。

英日翻訳でよくある問題とは?

英日翻訳でよくある問題とは?

英語から翻訳された日本語に違和感があって読みにくかった…と感じた経験はないでしょうか。原文の意味は解釈できており、単語の間違いや、訳し忘れもないにもかかわらずなぜ不自然な日本語表現になってしまうのでしょうか。
その理由は、他言語であるというだけではなく異文化間での考え方や物事のとらえ方の違いによりそれぞれ自然に感じる表現が異なるからです。

部分的に見るだけではなく、文全体に目を向けて「日本人はこのような表現をしているのだろうか」と日常を振り返って検討してみると違和感のある部分がみえてきます。
違和感のある日本語文章を修正する例を2つみてみましょう。

違和感の理由①無生物主語

原文:怪我は、人間にとっておきうるリスクだ。

改善例:どんな人も怪我をするリスクはある。

英語特有の表現である「無生物主語」が文頭にきていると日本語として違和感があります。この場合は日本語ならどう表現するかを考えます。怪我をするのは人間なので人間を主語にするとスムーズに読めます。

違和感の理由②代名詞

代名詞「これ、それ、あれ」「私、あなた」「彼、彼女、彼ら」などはどうしても必要な場合を除き、機械的に直訳せずにほかに適した表現を検討します。
日本人同士で「あなた」と相手を呼ぶ機会は少ないでしょう。誰に対する呼びかけなのかを考えると、職場なら「○○さん」や「課長」など名字や役職が当てはまり、不特定多数の読み手に対してなら「読者のみなさん」などになります。

文章によっては特に訳す必要のない場合もあります。

例文:When you login to the registration system, you can input the mandatory information.

直訳:あなたが登録システムにログインすると、あなたは必須情報を入力することができる。

改善例:登録システムにログインすると、必須情報を入力できる。

このようなマニュアルの指示文の場合、読み手はシステムを操作しようとしている人だと想定できます。文中のyou を「あなた」と訳す必要はありません。

英日翻訳の技術を磨く5つのポイント

英日翻訳の技術を磨く5つのポイント

英日翻訳で自然な日本語訳を書くためにはどのようなトレーニングを行えばいいのでしょうか。5つのポイントを具体的にご紹介します。

1.日本語の文章力

 

日本語なら毎日使っているのだからわざわざ鍛える必要はあるの?と思われるかもしれませんが、誰が読んでも正しく伝わる簡潔な日本語で文章を書くスキルは単なる日記や作文を書くスキルとは違います。日本語ライティングのトレーニングを行い、実務経験によって習得できるものです。
近年は日本人が最初から日本語で書いた文章でも翻訳文のようになっているものを見かけます。動画の字幕などで翻訳文に接する機会が増えていることによる影響もあるのかもしれません。

英日翻訳というと英語から日本語に訳す練習ばかりになりがちですが、一度英文和訳から離れて日本語だけで文章を書き直すトレーニングを行うと自分の日本語文章力の弱点が見えてきます。

冗長さや不自然さのある文章を書き直す例を2つ挙げてみます。

例文①ダラダラ文を歯切れよくする

原文:私は出張先で会議に参加するために会議場である巨大ホールに向かって歩いていた。私は片手にボストンバッグをもち、ノートパソコンと資料の入った大きなリュックサックを背負っていた。すると向かいから高齢の男性がこちらには目もくれずに自転車で突進してきた。

改善例:私は大きな荷物を抱え、会議場に向かっていた。すると向かいから男性がよそ見をしながら自転車で突進してきた。

原文は「私は~」が2つの文に分かれていますが、1つにまとめられます。日本語はいくらでも修飾できるため、ダラダラと長くなりやすいです。原文の要点は「身動きがとりづらい状態で激突される危険」です。細かい描写は必要であれば加えるとして、まずは要点を絞り込んでみましょう。

例文②ギクシャク文をスッキリさせる

原文:スマートフォンで動画を見ると充電池残量が減ってしまう。これはすなわち、その他の機能も使えなくなるという影響を与える。

改善例:スマートフォンで動画を見ると電池の減りが早くなるので、通話など本来の機能を使う際に支障が出る。

「充電池残量が減る」より「電池が減る」のほうが自然に伝わります。
日本語の文章では「つまり」「すなわち」「言い換えると」などで繰り返し表現されることが多いのですが、特に必要のない場合は区切らずにつなげたほうが簡潔になります。
「その他の機能」とは何なのかも例を挙げたほうがわかりやすくなります。

2.読む

デジタル化が進み、インターネットで手早く情報収集できる現代においては、時間をかけて長い文章を読む機会は減っています。便利になる一方で日本人の日本語の読解力低下が懸念されています。
多くの良質な文章を読み、語彙力が増えると自分で書くときに適切な表現が浮かんでくるようになります。

ここで注意したいのが「何を読むのか」です。ネット記事やブログなどは「スマートフォンで流し読みできる」日本語基準で書かれているものが多く、内容や日本語表現の審査が厳格ではない場合もあります。英日翻訳技術向上のために読む対象としてふさわしいものを選びましょう。
新聞、専門雑誌、書籍、論文などから自分の翻訳対象となる分野に関する情報を読み取り、業界の最新情報、表現方法や専門用語などを習得します。

わからない単語はすぐに辞書で調べて記録しておきます。英語だけではなく、日本語でも自分が普段使わない専門用語などはあらためて調べておいたほうが確実です。

さらに、読んだら要約して自分の言葉で内容をまとめるトレーニングを行うと原文の内容を理解する習慣がつきます。要約トレーニングにより、翻訳の際に文頭から訳さずに自分で理解した内容を自分の言葉で表現できるようになります。

3.話す

話すトレーニングの1つ目は英会話です。英日翻訳に英会話は必要ないと思われているかもしれませんが、言語変換力の瞬発力を鍛えるにはテンポよく会話できるようになるためのトレーニングを取り入れると効果的です。

翻訳者が受講するセミナーなどでは、前半の数分程度を英語での自己紹介や講師との英会話を行うプログラムが設定されている場合があります。また、英語翻訳のプライベートレッスンを受講する場合でも最初の15分程度はウォームアップとして講師との英会話を取り入れることが推奨されています。

2つ目は日本語での会話です。英日翻訳の技術を磨くための日本語トレーニングは、単なるおしゃべりではなく相手にとってわかりやすいかを考えながら説明することです。日本人同士でも複数の聞き手に対して全員が一発で理解できるように説明することは簡単ではありません。
文書の翻訳では読者からすぐにフィードバックを得ることは難しいですが、会話なら相手にちゃんと伝わっているのかどうかの反応を見ながら言葉を選ぶことができます。この時の「言葉選び」が伝わる文章を書く能力を伸ばしていきます。
相手に理解されているか、相手が何を言いたいのかを推し量りながら会話することで、文章の奥にある状況や背景を読み取る力が養われます。

4.日英翻訳も取り入れる

英日翻訳の実務経験があり、作業に慣れている場合は日英翻訳を取り入れてみましょう。自分で英語を書きおこすことによって英語に対する理解が深まり、英語に訳しやすい簡潔な日本語を意識できるようになります。

英語から日本語への翻訳という同じ作業のみを行っていると、頭の中は一方通行の単線道路です。基礎固めの時期が過ぎて頑強な道路に仕上がったら、日本語から英語への翻訳も行うことでから片側3車線の高速道路へと進化させることができます。双方向の感覚を身につけると作業の処理スピードが上がり、表現力も豊かになります。
結果として仕事の対応能力が向上し、より幅広く仕事の依頼を受けるチャンスが得られるでしょう。

5.自分の得意分野を究める

上述のとおり英日翻訳の技術習得には大量に読み書きをするトレーニングが欠かせませんが、たくさん読めと言われても内容に興味をもてなければ長時間のトレーニングをこなすことは難しいでしょう。

たとえば、職場でIT関連の翻訳をすることになった場合は、インターネットセキュリティや情報処理関連の資格取得を目指すのも1つの手段です。試験勉強をとおして語彙力が豊かになり、そのまま業務で使えます。資格試験のテキストは必要な情報が集約されており、項目ごとに整理されているので調べものをする際の参考資料としても使えます。日本語でわかりやすく説明する工夫が凝らされており、日本語表現の教科書にもなります。

本業に限らず趣味の分野でも「マニア」「おたく」のレベルまで突き進むことでその分野を究めることができます。自分の好きなことなら自然に読みたくなるので大量の書籍から情報収集し、同じ趣味の人と話したり文章に書き起こしたくなったりするでしょう。その際にわかりやすく説明するにはどうすればいいかを考えるので表現の応用力がついてきます。

趣味のスポーツでもインストラクターのライセンスを取得するには運動生理学や解剖学の知識が求められ、「人に教えられるレベル」まで自分の得意分野の知識を引き上げることになります。
料理が得意なら、追求していくと栄養学や化学の知識が必要になってきます。
翻訳の需要は多岐にわたるため、趣味であってもプロレベルに知識と技術を磨いておけば仕事につながるチャンスが舞い込むかもしれません。

ひとつの事を追求する姿勢は翻訳者にとって重要な要件です。中途半端な理解では物足りず、徹底して調査を行うことで完璧に仕上げようとする持久力が身につきます。この持久力が翻訳の技術に生きてきます。

英日翻訳のご依頼は翻訳会社FUKUDAIにご相談ください

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