日本語から英語に翻訳された文章を読んでいるときに途中で詰まってしまったことはありませんか?
日英翻訳では、日本語の原文をそのまま英語化すると、英語として間違いがなくても読みにくい文章になっていることがあります。
日本語と英語はまったく別の言語ですから、単純に「変換」するだけでは自然な文章にはならないのです。
今回は、日英翻訳の際に自然に読める訳文を作成する6つのポイントを紹介します。
日英翻訳でお悩みの方は是非参考にしてくださいね。
自然な訳文とは?

英文を読む機会が多いと「これは日本語から英語に翻訳された文章だ」とわかってしまうことがあります。
日英翻訳で不自然な訳文には次のような特徴があります。
- 途中で詰まってしまう
- 先頭に戻って読み直してしまう
- 文章を見た瞬間「重たい」印象がある
- 読んでいて長く感じる
- 意味がわかりにくい
あまりに読みにくいと「自分の英語力が足りないから読めないのか?」と思ってしまうかもしれませんね。
原文が日本語であっても、日本語を経由していると感じさせず、最初から英語で書かれた文章のようにスムーズに読み進められる英文が自然な訳文です。
日英翻訳で自然な訳文を作る6つのポイント

日本語から英語に訳すときに取り組みやすい6つのポイントをご紹介します。
①原文の内容を整理する
日本語の文章は、「~(なの)で」とか「~が」でつなげばいくらでも長くすることができるため、締まりのない長い文章になりやすいです。
原文の日本語を読んだら、情報を整理することから始めましょう。
以下の日本語の長い文章の要点を整理してみます。
例:痩せる目的でやってみたい運動として女性に人気のヨガですが、何年もヨガを続けて引き締まった体型を維持している人が増えている一方で「3年やっているけど全然痩せない」という人もいるので、「本当に瘦せるの?」とヨガの効果に疑問をもつ人もいるようです。
121文字の文章で句点は1つなので、一気読みすると息苦しく感じます。
上記の文章の要点は以下のとおりです。
- ヨガは痩せたい女性に人気
- 継続して体型を維持している人がいる
- 継続しても痩せていない人もいる
- 本当に痩せるのか疑っている人もいる
1文の長さとテンポを考慮して文章を再構築してみます。
改善例:ヨガは痩せる目的でやってみたい運動として女性に人気があります。何年もヨガを続けて引き締まった体型を維持している人は増えています。一方で「3年やっているけど全然痩せない」という人もいるので、ヨガの痩せる効果に疑問をもつ人もいるようです。
116文字で句点を3つにするとテンポよく読み進められます。
長い文章は一度バラして要点を整理し、内容を理解してからより簡潔で読みやすい日本語に書き直してみましょう。
日英翻訳というと英語力だけに集中しがちですが、正確な翻訳のためには日本語原文の意味を変えずに自分で書き換えられるまで深く内容を理解することが重要です。
②1つの文を短くする
長くて回りくどい文章は読んでも記憶に残らないだけではなく、最後まで読んでもらえない可能性もあります。
ビジネスレターやEメール、マニュアルなどの日英翻訳で読者が負担なく読める文章の条件は次のとおりです。
- 1つの文はひとつの情報を示す
- 1つの文のワード数は15~20ワード程度
- 1つの文の長さは1行半~2行を目安とする
※ただし、契約書や論文などは文章が長くなることがあります。
長文を短い文に分割する例文をみてみましょう。
原文:
Last week the welfare department announced that the company is offering two new family trip plans because employees have complained about the high cost of the previous plan and poor service provided.
先週、福利厚生部門は、会社が提供する前回の家族旅行プランの料金の高さとサービスの質の悪さにより社員から不満が出たので、2つの新しい家族旅行プランを提供すると発表した。
改善例:
Last week the welfare department announced that the company is offering two new family trip plans. The change came about because of the high cost of the previous plan and poor service provided.
先週、福利厚生部門は、2つの新しい家族旅行プランを提供すると発表した。その変更は前回のプランの料金の高さとサービスの質の悪さにより生じた。
32ワードの長い文章を”because”の部分で16ワードと17ワードの2つの文章に分割することにより読みやすくなりました。
③不要語を取り除く
ビジネスコミュニケーションにおける日英翻訳では、学校のテストのように日本語の原文のすべての単語を完全に訳すのではなく、簡潔に必要な情報を伝えることを目的とします。訳文の冗長度*を確認し、不要な単語をなくしておきましょう。
*冗長度:伝達される情報に含まれる余分な部分の割合(広辞苑 第7版より)
不要語を取り除く例文を2つみてみましょう。
(例文1)
原文:ハードディスクは合計128ギガバイトを収容する。
英訳:The hard disk drive stores a total of 128 gigabytes.
原文に「合計」とあるので”a total of”を使っているのですが、この文章で必要な情報は「保存容量」です。”a total of”は省けるでしょう。
変更後:The hard disk drive stores 128 gigabytes.
(ハードディスクは128ギガバイトを収容する。)
(例文2)
原文:1時間から2時間の時間のあと、システムはシャットダウンする。
英訳:After a time interval of one to two hours, the system shuts down.
「1時間から2時間」とシャットダウンする時間に間隔があるので”a time interval of”を使っているのですが、”one to two hours”だけで必要な情報は伝わるでしょう。
変更後:After one to two hours, the system shuts down.
(1時間から2時間後、システムはシャットダウンする。)
あっても間違いではないが、なくても文章が成立する単語ならなくすことを検討してみましょう。冗長さを取り除くと読みやすくなり、書き手にとっても見直しが楽になります。
④能動態で書く
日英翻訳で「~される」の動作をあらわすときは
受動態を能動態に変える例文を2つみてみましょう。
(例文1)1次サーバーは2次サーバーによってバックアップされている。
The primary sever is backed up by a secondary server.
変更後:2次サーバーが1次サーバーをバックアップしている。
A secondary server backs up the primary server.
(例文2)その車のエンジンは整備士によって修理された。
The car’s engine was repaired by the mechanic.
変更後:整備士はその車のエンジンを修理した。
The mechanic repaired the car’s engine.
受動態より能動態で表現したほうが、「何が何をした」の主語と動詞がハッキリと見えてわかりやすくなります。
⑤名詞を動詞に変える
日英翻訳で「~を行う」、「~をする」などの動作をあらわすときは「動詞+名詞」の形になっていることがあります。名詞を動詞に変えると一語で表現できます。
名詞を動詞に変える例文を2つみてみましょう。
(例文1)ラジコンカーの分解は以下のように行う。
Perform disassembly of the radio controlled car as described below.
名詞のdisassembly(分解、取りはずし)を動詞のdisassemble(取りはずす、分解する)に変えるとperform(行う)は不要になります。
変更後:ラジコンカーは以下のように分解する。
Disassemble the radio controlled car as described below.
(例文2)電子設計者は仕様書に改訂を加えた。
The electronic designer provided a revision to the specification.
名詞のrevision(改訂)を動詞のrevise(改訂する)に変えるとprovide(与える)は不要になります。
変更後:電子設計者は仕様を改訂した。
The electronic designer revised the specification.
動作は1語で表現したほうが、より明確に「何をするのか」の動作がわかりやすくなります。
⑥訳文を音読する
日英翻訳の訳文の作成が終わったら、最後の見直しの際に音読をしてみましょう。
自分で書いた訳文は文章が頭に入ってしまっているので、目で追って黙読するだけだとすらすら読めてしまい「読者からみた読みにくさ」を見逃してしまいます。
声に出して読んでみると違和感がある場合があります。途中で詰まってしまうなら冗長な部分があるかもしれません。息が苦しくなるなら1つの文章が長すぎる可能性があります。
見直しは時間を置いてから、時間に余裕があれば一晩おいて一旦頭に残っている記憶をリセットしてから読んだほうが間違いや不自然さを見つけられます。
自然な訳文作成のポイントを復習しよう

日英翻訳において読者に無駄な時間使わせない「自然に読める訳文」を作成するためのポイントを復習しておきましょう。
- 原文を要約して内容を理解する。
- 文章が長すぎないか?
- 省ける単語はないか?
- 能動態に変えられる文章はないか?
- 動詞に変えられる名詞はないか?
- 仕上げは音読で。見直しは翌日行う。
日本語で書かれた文書なら読者は限られてしまいますが、英文化することで読者の対象は何倍にも広がるのです。
1人でも多くの人に読んでもらうためには可能な限り「読みやすい」訳文作成を心がけたいですね。
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原文を要約する、必要な情報を見極める、英語の態を変えるなどの日英翻訳のスキルを身につけるには相応のトレーニングが必要です。「この単語を省略しても必要な情報は伝わるだろう」と判断できる感覚は、実際に英語を使用したコミュニケーションの経験から得られます。
FUKUDAIの日英翻訳サービスでは、文書の種類や使用目的などのお客様の用途に沿った最適な翻訳サービスをご提供します。日本人およびネイティブの翻訳者が対応いたしますのでご安心ください。日英翻訳についてお悩みならお気軽に翻訳会社FUKUDAIにご相談ください。
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